織絵屋のブログ

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織絵屋の松山です!今回はロウケツ染めについて述べます。

 

ロウケツ染めの歴史は古く、飛鳥時代には、纐纈(こうけち・絞り染め)、狭纈(きょうけち・板締め染め)、蝋纈(ろうけち・ロウケツ染め)は天平に三纈(さんけち)と呼ばれていました。

 

ところで、布を水性の染料で直接染めると色がにじんでしまい、模様をはっきり描くことは出来ません。

 

これを防ぐのが防染技術です。まだ、友禅染は生まれていない古代の防染技術が上記の三纈です。

 

染めたくない部分を絞りや板締め、ロウで防染することによって模様染めが可能になるのです。

 

古代のロウケツ染め・蝋纈(ろうけち)は、蜜蝋を使っていたようですが、高価な染色法だったために平安時代には途絶えてしまいました。

 

室町時代から江戸時代にかけ、ロウ防染の技法で染められたジャワ更紗(バティック染)が輸入され、日本人を魅了しました。

 

明治時代の末期、鶴巻博士によってこのバティック染技法が取り入れられ、日本でのロウケツ染が新しく始まりました。

 

その後、昭和30年頃から、ロウケツ染は多くの工芸作家によってキモノにも染められるようになり、友禅染に並ぶ染め物に成長してきたのです。

 

ロウケツ染の魅力は、何と言っても重ね染めによる色の深さです。

織絵屋の松山です。浴衣に代表される着物素材は木綿です。今回は、木綿の歴史、特徴について述べます。

 

 

日本に初めて木綿の種がもたらされたのは、8世紀末と言われています。しかし、この種は高温種の木綿だったので、日本では育ちませんでした。

 

また、輸入された木綿は高級品でしたので、一般庶民までは普及していませんでした。

 

やがて、16世紀中ごろ、中国の綿種が伝わり、日本でも広く綿花が栽培されるようになりました。

 

 

麻素材より、柔らかく、保温性が高く、染色もしやすいことから庶民の貴重な衣服として急速に普及していきました。

 

17世紀中ごろまでには、国産の綿織物が庶民の普段着になるほどまでに普及知したそうです。

 

しかし、明治29年、綿花輸入関税が撤廃されると、日本国内の綿花栽培は急速に衰退していきました。

 

現在の主な木綿織物は、久留米絣、弓浜絣、伊勢木綿、会津木綿、片貝木綿などがあります。

 

木綿織物は麻素材の小千谷縮などと同じ様に自宅で洗えますので、普段着着物としておすすめです。

 

私は、4月から6月、9月から11月の期間は、もっぱら木綿織物で過ごしています!

織絵屋の松山です。今回は着物素材の一つ「麻」について述べます。

 

江戸中期頃まで、一般的な着物の素材と言えば麻でした。日本では、古来、麻とは「大麻」と「苧麻(ちょま)」のことを言いました。 

 

 

しかし、戦後、GHQにより大麻の栽培は許可制になり、現在の麻織物のほとんどが苧麻で織られています。

 

ちなみに、「麻の葉文様」は大麻の葉を文様化したものです。

 

 

麻の歴史は古く、縄文時代より栽培されていました。古代日本語では「あ」は始まり、「さ」は田の神を意味することから、麻は、日本人が初めて栽培した植物とも言われます。

 

麻繊維の主な特性は、①天然繊維で最強の強度である。②吸湿、放湿性に優れている。③接触冷感性(触れた時に冷たく感じる)に優れている。④保温性がほとんどなく、涼しい。⑤汚れが洗濯で容易に取れる。⑥シャリ感がある。などが挙げられます。

 

シワになりやすいという特性もありますが、霧吹きなどで水を吹き付ければ、すぐにきれいに取れます。

 

これらの特性から、高温多湿の日本の夏の普段着に、最高の素材と言えます。

 

代表的な麻織物には、越後上布、宮古上布、八重山上布、能登上布などがあります。これらは、上布は本来、献上品ですので、結構な高額品になります。

 

私のオススメは麻の紡績糸(ラミー)を使った小千谷縮です。緯糸に強撚糸を使い、大きなシボを出した生地ですので、汗をかいても肌に貼りつかず、サラッとしています。

 

また、お手頃価格なので、今年は先人たちが真夏でも快適に過ごせた秘密を体感して下さい。

織絵屋の松山です!今回、今から370年前に完成したと言われる友禅染について述べます。

 

友禅染が考案される前は、模様染めは絞り染しかありませんでした。当時、もっとも華やかな染めが「辻が花染」でした。

 

 そこに、宮崎友禅斎という天才的なデザイナーが現われ、友禅染を確立しました。染の自由度の大きい友禅染は爆発的な人気を博し、現代まで続いているのです。

 友禅染の作業工程は、細かくは15、6の工程がありますが、大まかに説明します。

 

 まずは、①図案づくり、②白生地を仮絵羽(着物の形に粗く縫う)、③②に青花で下絵を描く工程、④下絵の線の上から糊糸目(染料がはみ出さないように糊でダム)を置く工程、⑤糊糸目の中に染料を挿して染める作業、⑥⑤の染めた模様を糠糊でふさぐ工程、⑦地色を染める作業、⑧蒸して色を定着させる作業、⑨水洗い(糊を洗い落とす)

 

 友禅染は、分業制であり、それぞれの工程に熟練の職人が必要です。一つでもなくなったら、美しい友禅染は完成しないのです。

 

 現代では、型友禅や捺染友禅、インクジェット友禅がほとんどです。本物の友禅染はわずか1%にも足らず、後の世までも残したいものです。

織絵屋の松山です!今回は、着物の素材のうち8割を超える『絹』についてのべます!

 

『絹』の誕生の伝説があります!

 

中国の祖と言われる大黄帝の皇后のお茶の湯に山繭が落ち、それを箸で拾い上げようとしてところ、繭が解け、糸が無限に出てきました!

 

皇后は、その長い糸なら美しい織物が作れると考えたそうです!

 

中国で生まれた『絹』はシルクロードによって世界にひろがり、人々を魅了していきました!

 

しかし、養蚕技術は、中世まで中国の独占技術でしたので、他の国で絹をつくることができませんでした!

 

日本には、中国の江南地域の人が琉球(沖縄)の久米島に漂流し、島人に助けられ、そのお礼に特別に養蚕技術を伝えたと言われています!

 

『絹』の特性として、専門の学者は①吸湿法質性(汗などを綿の,1,5倍のスピードで吸収し、放散する特性)、②紫外線吸収放射性(紫外線から肌の美白を守る特性)、③整体順応性(人の皮膚に最も近い特性)、④保温性(薄く、軽くても保温性が高い特性)、⑤吸音性(カーテンや壁紙などに使うと音が伝わりにくい特性)、⑥吸気性(壁紙などに使うとカビが生じにくい特性)、⑦難燃性(燃えにくい特性)の七つを上げています。

 

絹が着物に使われる魅力は、何と言ってもその高貴な光沢です!これは天然繊維の中で最長の繊維だからこその特徴です!

 

また、染色しやすいという長所があり、染め替えなどでリメイクしやすい利点もありますから、現代のSDGsにぴったりの素材と言えます。

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